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2018.08.21
お盆休みは酷暑の大阪を脱出し、一昨年に引き続き再び北海道へ!一昨年は高校から大学まで一緒の相棒Y君と、愛車ハーレーダビッドソンに跨り、北海道一周3,000キロの駆け足ツーリングを敢行したのですが、今回は妻とゆっくりレンタカーでのんびり熟年旅行です。その中でも一番印象深かった小樽の街の様子を追々紹介していきます。 かって明治後期から昭和初期にかけて北日本有数の貿易港として栄えた小樽。海を埋立てて一部の海面を残して築造した「小樽運河」。運河に面して建ち並ぶかっての倉庫群は外観は当時のままで、内部は店舗などにコンバージョン。改めて運河の一部を埋めたてて遊歩道が整備され、夜間はガス灯の幻想的な光で水面に映えるレトロな建築群が浮かび上がります。 海運、銀行、商社等一流企業の支店が建ち並び、かっての街の興隆ぶりを今に伝える「北のウォール街」の一つ一つが個性的なモダン建築群。これらの建物も内部は、資料館や美術館、博物館、レストラン、観光案内所などとして再生されています。 そして、オルゴールやガラス製品、有名店のスイーツ等、小樽ならではのショップがお目当ての観光客で大賑わいの「堺町通」。 古き良き繁栄の時代の遺産を見事にリニューアルして再生し、小規模ながらその独特の街としての魅力で世界中から観光客を集め続ける小樽の街は、スクラップ&ビルドではない「歴史を次世代に繋げていく」まちづくりの先駆的事例であり、成熟した日本の文化を感じさせてくれます。
小さな遊覧船に乗り込み40分の小樽運河ナイトクルーズです
ブリッジの下をくぐって、遊覧船はしばし小樽港方面へ向かいます
かって小樽港に着いた船から運河沿いの倉庫まで物資を運んだ「艀-はしけ」が残っていました
遊歩道の無い北側の運河は当時のままの巾で残っています。明るい灯火は現役のイカ釣り船
淡い灯りの中、当時のままの姿で浮かびあがるのは「北海製罐小樽工場倉庫」
遊覧船に乗り込む前に降りだした雨も何時しかあがり、爽やかな海風を感じながらの40分のクルーズは小樽観光の定番コース。 案内役のガイドさんの説明に耳を傾け、河岸で運河を眺める人々やすれ違う遊覧船に手を振りながら、刻々と移り変わる眼前の風景を楽しむ満員の船内は、あちこちで子供のような歓声に満ちていました!! かっての鉄道の線路がそのまま残っている「旧手宮線」沿いの遊歩道に沿ってしばらく歩くと、なにやらどこかで見たことのあるようなモダン建築が現れました。昭和27年に小樽地方貯金局として建てられた建物を活用した市立小樽文学館・市立小樽美術館です。この建築のことを少し調べて見ると、設計は当時の郵政省建築部長だった小阪秀雄氏で、その後の「日本の公共建築の基本形」となったと言われているそうです。昭和28年生まれの私ですが、この建物を人目見たとき感じたデジャブ(既視感)の理由が分かったような気がしました。外壁の一部が汚れたまま無造作に建っていますが、昭和の小樽を代表するモダニズム建築です。階段室の大きなガラス窓は、当時としては思い切りモダンに感じられたことでしょう
高く伸びたシャフトに階段が取り付く妻側ファサードは美しいプロポーションです
内部からの階段越しの眺め。スウェーデン芸術祭が開催中でした。
(続く)