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2018.10.29
あべのハルカス美術館で開催されている太陽の塔展覧会。本物の太陽の塔はまだ見れていませんが、9月14日から始まったこの展覧会も早、終盤に。何とか時間をつくって駆け足で訪れましたが、展示内容は想像以上に力の入ったもので、たいへん刺激的な時間を過ごしました。写真撮影OKというのも嬉しい! 高校生の時に見たお祭り広場の光景はおぼろげながら記憶に残っていますが、当時太陽の塔の中に入ったことはなく、内部の展示の様子や、塔の両腕の部分がお祭り広場の屋根の展示空間につながっていた事などは全く分かっていませんでした。 会場に展示されていた精巧な模型を眺めていると、丹下健三設計のシステマティックな屋根を突き破って屹立する「ベラボーな」塔の奇怪な造形に込められた、岡本太郎の熱い情念に圧倒されます。 当時の地下空間の展示を再現したジオラマはどれも精巧で実に美しいもので、思わず近寄って、しばし見入ってしまいました。 太陽の塔の内部を説明する模型。生命の進化を表す「生命の樹」のディテ-ル、そのまわりを上昇してゆく階段(当時はエスカレーター)などが照明効果と共に分かりやすく表現されています。 下の写真は、この展覧会の目玉とも言うべき、初代「黄金の顔」の実物展示。仮設の足場の上から真近に眺めることが出来ます。修復後はステンレス板にスコッチフィルムを貼って作り直されていますが、展示されていたのは当時の鉄板製のもの。荒々しい手作りの造形の生々しさ、そのスケールの巨大さに驚かされます。施工中の現場写真も合わせて展示されていました。 当時、建設に際してデザインや技術的な検討を行う為に製作されたマケット(模型)の一つです。私の岡本太郎のイメージは「体育会系アーテイスト」。ランニング姿でエネルギッシュに太陽の塔の石膏原型を製作する岡本太郎のヴィネットが背後に見えます。結構リアルです! 両手を前に出して近寄るなと言っているかのような「ノン」(フランス語でノー)と名づけられた岡本太郎の作品。地下展示ゾーンに置かれていたそうです。世界から集められた仮面や神像が並ぶ展示空間に溶け込んでいたことでしょう。西欧のモダニズム(近代主義)やその裏返しとしての「日本調」の伝統主義にノーを突きつけ、万博を契機として、独自の新しいモノ(太陽の塔がその際たるモノですが)を想像しようとする岡本太郎の強靭な意志が伝わってきます。 岡本太郎最後の作品「雷神」。1960年代の作品が並ぶコーナーの一角に展示されていました。署名が無いので未完とされています。まるで絵心のあるやんちゃな子供が思うがままに描いたような若々しくエネルギッシュな作品です。 万博閉幕後行方不明となったままの「地底の太陽」ですが、塔の内部の修復と再生を機に復元され、ここではその原形が展示されていますが、ちょっと綺麗にまとまり過ぎた感も。
平日でも盛況の会場の様子。老若男女が興味津々です
カラフルな岡本太郎の作品が並ぶ会場の導入部分
48年の歳月を経て蘇った太陽の塔や、今日の日本や世界の状況を見て、岡本太郎は何を思うのでしょうか