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2018.08.27
小樽芸術村のもう一つの建物である「旧高橋倉庫」はステンドグラス美術館となっています。外壁は石造り、内部は木造という小樽に特徴的な建築の壁面一杯に、バックに照明を仕込んだきらびやかな色彩のステンドグラスが、展示されています。中央に吹き抜けを挟んだ空間構成で、様々な角度から作品を楽しめる様工夫が為されています。 観光客でにぎあう堺町通りは、小樽を代表するクラフト製品のお店が並んでいます。中でも硝子製品を販売する「北一硝子」は小樽を代表する老舗で、様々な種類の硝子製品を扱う複数の店舗と合わせ、美術館やカフェも開設しています。朝一番で「北一硝子3号館」にあるカフェ・レストラン「北一ホール」に立ち寄ると、早くも順番待ちの行列が出来ていました。 行列に並んだおかげで、開店前の一時、店内に167個ある!石油ランプ一つ一つに点灯する様子を見ることができました。お店の基本の灯りはこの石油ランプだけ!。100年以上も前、石油ランプ一つから北一硝子の歴史が始まったそうです。石油ランプの温かい灯りに満たされる窓の無いダイナミックな木造架構の空間。ちょっと懐かしい感じがする石油のほのかな匂いが漂う中、壁面一杯にディスプレーされたガラス製品や、正面の世界地図のオブジェを眺めながら、家内と二人、朝のスイーツを楽しみました。 さて、この日は積丹半島1周の絶景ドライブに出かける予定でしたが、生憎の雨模様。予定を変更して、余市の「ニッカウヰスキー余市蒸留所」を見学することにしました。
広大な敷地、豊かな自然の中にゆったりと各施設が配置されています
小さなとんがり屋根が連なる醗酵棟の建物
適切な火力を保ちながら石炭をくべるために熟練の職人技が必要になる、今では世界でも希少な「石炭直火蒸溜」が採用されている単式蒸溜器(ポットスチル)。上部の注連飾りに注目
手作りの樽の中でウイスキーを熟成させる貯蔵庫の一つはウイスキー博物館となっています。
貯蔵庫の奥行きは50M
NHKドラマの「マッサン」でお馴染みニッカウヰスキー創業者竹鶴政孝の愛妻の家「リタハウス」
余市蒸溜所の正門を敷地内から見たところ
ウヰスキーの製造工程の見学と、試飲等も出来る蒸溜所ガイドツアーが30分毎に実施されていました。何と90分のガイドツアーが無料。私たちの班は、ニッカウヰスキーの今年の新入社員で研修中という初々しい女性が案内してくれましたが、研修中とは言え、なかなかどうしてどうしてその名ガイドぶりに感心することしきり。創業者の夢と情熱を受け継ぎ、本物のモルトウヰスキーづくりの過程とその奥深い魅力を、訪れる人々にきちんと伝えようとする熱意に感じ入りながら、たいへん興味深い時間を過ごしました。運転手のため試飲が味わえなかったのが残念!!カテゴリ:
2018.08.24
明治後期から昭和初期にかけての小樽港大繁栄の時代に次々と建てられた欧風意匠の建築群。誰が名づけたのか「北のウォール街」と呼ばれるエリアです。
日銀通りと呼ばれる道沿い、明治45年(1912年)竣工の「旧日本銀行小樽支店」を筆頭に銀行建築が建ち並びます。
これぞ「旧日本銀行小樽支店」。現在は金融資料館になっています
こちらは小樽バインというワインのお店が入る「旧北海道銀行本店」
「旧三井銀行小樽支店」は「小樽芸術村」の建物のひとつとして内部が公開されています
「小樽芸術村」は北海道で生まれ育った㈱ニトリホールディング(家具のニトリ)の似鳥昭雄会長が開設。「旧北海道拓殖銀行小樽支店」、「旧三井銀行小樽支店」、「旧高橋倉庫」、「旧荒田倉庫」の4棟を利用してそれぞれの建物にその時代を彩ってきた日本や世界の美術品、工芸品が展示公開されています。。「旧北海道拓殖銀行小樽支店」は「似鳥美術館」とアールヌーボーとアールデコそれぞれの時代のグラス作品や家具が展示されている「アールヌーボー・アールデコグラスギャラリー」があり、なかなかに見応えのある施設に生まれ変わっていました。「似鳥美術館」の一角に展示されていた岡本太郎氏の作品。左側の4点は
「座ることを拒否する椅子」
「旧三井銀行小樽支店」は銀行時代の営業室がリニューアルして公開されており、一部の部屋では浮世絵展が催されていました。日本が欧風建築の意匠を取り入れて建てた建築空間で、逆に日本発で世界のアートに大きな影響を与えた浮世絵の展示というのも面白い企画ですね。 この建物は地上2階建て(地下1階)ですが営業室全体がほぼ2層吹き抜けとなっている贅沢なつくりです。2層吹き抜けの天井を利用してのプロジェクションマッピング。映像が刻々と入れ替わり幻想的な雰囲気です
地下にある金庫室の出入り口。堅牢なつくりの扉が大迫力です
(続く)
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2018.08.21
お盆休みは酷暑の大阪を脱出し、一昨年に引き続き再び北海道へ!一昨年は高校から大学まで一緒の相棒Y君と、愛車ハーレーダビッドソンに跨り、北海道一周3,000キロの駆け足ツーリングを敢行したのですが、今回は妻とゆっくりレンタカーでのんびり熟年旅行です。その中でも一番印象深かった小樽の街の様子を追々紹介していきます。 かって明治後期から昭和初期にかけて北日本有数の貿易港として栄えた小樽。海を埋立てて一部の海面を残して築造した「小樽運河」。運河に面して建ち並ぶかっての倉庫群は外観は当時のままで、内部は店舗などにコンバージョン。改めて運河の一部を埋めたてて遊歩道が整備され、夜間はガス灯の幻想的な光で水面に映えるレトロな建築群が浮かび上がります。 海運、銀行、商社等一流企業の支店が建ち並び、かっての街の興隆ぶりを今に伝える「北のウォール街」の一つ一つが個性的なモダン建築群。これらの建物も内部は、資料館や美術館、博物館、レストラン、観光案内所などとして再生されています。 そして、オルゴールやガラス製品、有名店のスイーツ等、小樽ならではのショップがお目当ての観光客で大賑わいの「堺町通」。 古き良き繁栄の時代の遺産を見事にリニューアルして再生し、小規模ながらその独特の街としての魅力で世界中から観光客を集め続ける小樽の街は、スクラップ&ビルドではない「歴史を次世代に繋げていく」まちづくりの先駆的事例であり、成熟した日本の文化を感じさせてくれます。
小さな遊覧船に乗り込み40分の小樽運河ナイトクルーズです
ブリッジの下をくぐって、遊覧船はしばし小樽港方面へ向かいます
かって小樽港に着いた船から運河沿いの倉庫まで物資を運んだ「艀-はしけ」が残っていました
遊歩道の無い北側の運河は当時のままの巾で残っています。明るい灯火は現役のイカ釣り船
淡い灯りの中、当時のままの姿で浮かびあがるのは「北海製罐小樽工場倉庫」
遊覧船に乗り込む前に降りだした雨も何時しかあがり、爽やかな海風を感じながらの40分のクルーズは小樽観光の定番コース。 案内役のガイドさんの説明に耳を傾け、河岸で運河を眺める人々やすれ違う遊覧船に手を振りながら、刻々と移り変わる眼前の風景を楽しむ満員の船内は、あちこちで子供のような歓声に満ちていました!! かっての鉄道の線路がそのまま残っている「旧手宮線」沿いの遊歩道に沿ってしばらく歩くと、なにやらどこかで見たことのあるようなモダン建築が現れました。昭和27年に小樽地方貯金局として建てられた建物を活用した市立小樽文学館・市立小樽美術館です。この建築のことを少し調べて見ると、設計は当時の郵政省建築部長だった小阪秀雄氏で、その後の「日本の公共建築の基本形」となったと言われているそうです。昭和28年生まれの私ですが、この建物を人目見たとき感じたデジャブ(既視感)の理由が分かったような気がしました。外壁の一部が汚れたまま無造作に建っていますが、昭和の小樽を代表するモダニズム建築です。階段室の大きなガラス窓は、当時としては思い切りモダンに感じられたことでしょう
高く伸びたシャフトに階段が取り付く妻側ファサードは美しいプロポーションです
内部からの階段越しの眺め。スウェーデン芸術祭が開催中でした。
(続く)