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2022/09/30
建築家 石井修さんの娘さんで、中学・高校の先輩(最近知りました)でもある石井智子さんの著書「人=人生=建築 ユイイツムニの家」を、柳々堂さんの紹介で拝読させていただきました。
父のDNAを受けついで設計活動をされている著者が、人がいきいきと暮らす空間としての家はどうあるべきかを、写真とエッセイで綴った一冊。
自ら石井修さんの自邸である「回帰草案」で暮らした経験をふまえて、尊敬する父の言葉も引用しながら、緑豊かな外部の自然と一体化する空間で生活することの大切さ・素晴らしさが、著者
の人柄を感じさせるような飾り気のない素直な言葉で語られています。
建築家の文章によくある難解な表現は一切無いので、誰にも分かりやすく読みすすむことが出来て、読了後はほっこりした暖かい気持ちになれます。
この本が教えてくれる(建築家が)家をつくるにあたって大切なことは。。
・その場の環境をしっかりと捉えて、外部空間との好ましい関係を構築すること
・そこで暮らすそれぞれの家族にとって最も相応しい家とはどうあるべきか、を考え尽くすこと
・生活する中で、手に触れるもの、目に触れるものを、細部まで丁寧にデザインすること
・周囲の風景を決してこわすことのない建築(中途半端な外面であれば見えない方が良い!)であること
それらがしっかり実践できた時に初めて「ユイイツムニの家」が出来るのだ!と。
久しぶりに建築というものの原点を思い起こさせてもらった気がします。
建築を志す若い学生さんにもぜひ手に取って欲しい本だと思いました。
樹々に埋もれた回帰草案の外観
回帰草案へのアプローチ
中庭からガラス窓越しに見上げた風景
回帰草案の断面図。敷地の傾斜に沿って建てられている
緑豊かな外部が垣間見える廊下。左側が中庭の緑
2本の丸太の柱がある約8.1m角のリビング
造り付けの8人掛けのテーブルと椅子のあるダイニング。ここが石井修さんを囲む家族の語らいの場であったという
著者設計「伊賀の家」の緑豊かな中庭。壁・屋根がガラスの渡り廊下と木製サッシュに囲まれている
(了)