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2015/12/14
かのロバートフリップ率いるキングクリムゾンが久方ぶりに来日。フェスティバルホールでの大阪公演に行ってきました。チケットは全てソールドアウトで会場は超満員。シニア世代ばかりかと思いきや、以外と若い世代が多いのにもびっくり。公演の前に偏屈屋?のロバートフリップが自らマイクを握り(姿は見えずでしたが)「撮影、録音は絶対に駄目よ!」と釘を指してから、おもむろに演奏スタート。デビューアルバムを含む初期の楽曲から、新しいラインアップまで、ぶっ通しで2時間以上、緻密でありながらエネルギッシュなパフォーマンスを披露してくれました。それにしても「キングクリムゾンの宮殿」で鮮烈なデビューを飾ってからなんと46年。当時の楽曲が今でもまったく色褪せずになおみずみずしい魅力を放ち、若い世代をも引き付けているこのバンドは本当に凄いです。
日本公演パンフレットより
実は私がプログレなる音楽を改めて聞き出したのはほんの数年前。学生時代は黒人ブルースを演奏するバンドを組んでいて、プログレを始めとするブリティッシュロックなるものは、どちらかといえば食わず嫌いで終わっていました。クラシックなども含むいわゆる「構築的な」音楽より、感情をそのままストレートに表現するエモーショナルなヴォーカルミュージックであるブルースやソウルなどに心惹かれていたものです。しかし、シニア世代になって、ひょんなことから1960年代後半から1970年代後半位までの、いわゆるプログレ全盛期のアーティスト達の音楽を聞き込むようになり、遅まきながらその魅力にはまってしまったのですが、その中でもキングクリムゾンは別格と言えます。
リーダーのロバートフリップは、何度かの休止期間があったとは言え、約半世紀もの間キングクリムゾンを続ける中で、多くのメンバー交代を経ながら思考錯誤を重ね、常に新しい試みにチャレンジしてきた人です。(今回のバンド編成も3人のドラマーがステージの前方にずらりと並ぶという特異なものでした)もちろんストレートなロックミュージックとは一線を画し、ジャズやクラシックの要素に加えて、いとも間単に高度なアレンジや変拍子なども駆使するその楽曲は、決して一筋縄ではいかなさそうで、なにやら奥深く、一度聞くとまた繰り返し聞き込みたくなる不思議な魅力を持っています。激しいリズムと叙情性に満ちたメロディーとのいわば動と静の対比も圧巻で、それらが、完全主義者ロバートフリップの頭のなかで、周到、綿密に構築されているのです。
そんなわけで、次の日の大阪最終公演も続けて聞きたくなった次第ですが、残念ながらソールドアウト。会場で販売されていた、未発表音源や直近のライブパフォーマンス等を収録した2枚組みCDのボックスセットを手に、幸せな気分で帰路についたのでした。