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2015/08/27
ザハ、ハディト氏が、新国立競技場計画白紙撤回に、ビデオメッセージで反論し、これまで膨大なコストと労力を費やして蓄積してきた成果を無に帰してしまうことのリスクを最大限考慮すべきである事、そしてコストの高騰は、デザインのせいでは無く、競争原理が働かない中でゼネコンを選定したためである、などと主張しました。
私は、元よりハディト氏のデザインを支持していたわけではなく、むしろ、あの場所に、あのような巨大かつ奇怪ともいうべき建物を建てる事のリスクをかなり危惧していたのですが、今回のハディト氏の意見には、同感できる点が多々ありました。道半ばで、いきなりハシゴを外されたハディト氏の忸怩たる思いは置くとしても、これまでの成果を全てリセットして一から仕切り直すには時間が無さ過ぎるし、すでに費やされたコストを考えれば、あまりにも勿体無い。一見いさぎよい安倍さんの白紙撤回は英断だと持ち上げる人もいますが、私から言わせればとんでもない話で、あまりにも遅きに失した結果のお粗末な判断としか言いようがない。当事者の身にもなってみろよという訳ですよね。
これまでの成果をいかに生かした形で真に求められるものを創り上げることができるか、これからが正念場といえますが、コストを合わすために設計と工事を一体化して募るとなれば、まさにハディト氏の言うように、再びコストについての競争原理が働かない危惧もあるわけで、コストは安いけど凡庸で中途半端なものになってしまったら元も子もありません。というわけで、しばらくの間、建築家のはしくれとしてこの問題から目が離せません。
私の事務所に応募資格があれば、頑張って提案するんだけどなあ(^○^)